出会い系 サクラ暗躍 巧妙な手口



 【国吉美香】出会い系サイトで「サクラ」を使って客から利用料をだまし取ったとして、サイト運営会社元会長(59)ら6人が、府警と大分県警の合同捜査班に10月に詐欺容疑で逮捕され、先月起訴された。府警によると、売り上げは約8億4千万円。どんな手口なのか。被害に遭った女性が自らの体験を語った。

◇懸賞応募→メール次々◇

「車が必ず当たる」。そううたった懸賞の応募メールが昨年12月初旬、神奈川県藤沢市の会社員女性(44)の携帯電話に届いた。よくある迷惑メールだと思いつつ、軽い気持ちでメールアドレスや氏名を入力し、メールを送信した。

 数日後、同県鎌倉市の「たっくみー」(23)と名乗る男性から、「おしゃべり広場」というメール交換サイトを通じて、メールが突然届いた。

 「ドライブ行かない?」

 メール交換サイトに登録した覚えはなく無視をしていたが気になって2日後に返信。すると、また返信が来た。

 「どこで待ち合わせする?」

 メール交換は最初無料だったが、次第に1ポイント10円のポイント購入を求めるメールが届き始めた。たっくみーとはまだドライブに行く日程を決める途中だった。「少しなら……」。1万円でポイントを買った。

 待ち合わせは藤沢市と決まったものの、ドライブの日程は決まらない。不審に思った女性がメールした。

 「本当に会えるの?」

 たっくみーから返信。

 「半信半疑なのは理解しているよ。そんな気持ちにさせてしまったのは俺の責任。ごめんね」「会った時は笑顔でいたいよね」

 次第にたっくみー以外からもメールが届き始めた。自営業たっちゃん(29)、妻を亡くしたまさお(71)、主婦愛子(36)――。大学生や会社の取締役会長と名乗る人物もいた。

 男女の出会いだけを求めていたわけではない。メールで本音をさらせる相手がほしかったのかもしれない。結局、約10カ月で約30人とメール交換し、約250万円をつぎ込んだ。だまされたと気がついたのは、サイト運営会社元会長らが逮捕されてからだ。

 「あのときの自分は自分じゃないみたい。もう二度とやろうと思いません」

◇バイト10人マニュアル 1万人以上演じ分け◇

 「最大の目的はユーザーの持ちポイントを使わせ、入金につなげること」

 府警によると、出会い系サイト「おしゃべり広場」のサクラが使っていたマニュアルには、こんな趣旨の見出しが躍っていた。

 登録者同士が有料のポイント(1ポイント10円)でメール交換できるとし、メール開封や送信には1回につき平均約20~40ポイントが必要だ。

 マニュアルでは「相手が返事を返したくなるような文言を書いて」「メモ情報に合ったキャラを演じて返信」「どんなやり取りをしてきたか、キャラの口調はどんな感じか、確認して返信」と細かく指示しているほか、どのサクラがどういうメールを交換したか一覧にされ、サクラ同士で共有する仕組みになっていた。

 例えば架空の人物「IT企業の一峰かほり(38)」の場合は「ほとんど家にいる。会社役員。たまにキツイけど打ち合わせや会議に顔出す」といった具合だ。

 アルバイト10人のサクラがこうしたメモを共有。約1万3700人分の架空の人物を演じ、メールを交換していた。過去の利用者の情報もデータベース化していたという。

◇相談4・5倍に急増◇

 国民生活センターによると、懸賞や占いサイトなどに個人情報を登録した後、いつの間にか出会い系サイトからメールがくるようになったという相談が昨年度で5361件と、2008年度の1189件から約4・5倍に急増している。

 今年も1月~12月11日、出会い系サイト全体の相談1万3277件のうち、3466件を占める。40~70代の女性に相談者が多いことも特徴という。

 同センターは「トラブルに遭ったと思ったらすぐに証拠メールなどを保存し、消費生活センターや弁護士に相談を」と注意を呼びかけている。

≪引用元:朝日新聞≫
http://www.asahi.com/articles/CMTW1312142700005.html





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